マンハッタンで11日、4人のアジア系女性が、見知らぬ女から差別発言を受け、ペッパースプレー(護身用の催涙スプレー)をかけられる事件があった。
地元テレビ局WABCによると、事件が起きたのは午後6時ごろ、ミートパッキング地区(ウエスト14ストリートと9ストリート)付近。被害者は全員、クイーンズ在住の20代の女性で、路上で開催されていたフラワーイベントに出かけていた。
ピンク色の服を着た女は、突然女性たちに「私に嫌がらせをしようとしている」などと難癖をつけてきたという。
女性たちは「嫌な思いをさせるつもりはなかった」「そのように感じさせたつもりはなかった」と釈明したが、女の怒りは収まらず、「自分の国に帰れ」「あなたたちの居場所はない」などと暴言を吐いた上に、催涙スプレーを取り出した。
女はこの間、通りすがりのアジア人男性にも「国に帰れ」といった差別発言を浴びせた。女性たちが遠ざかろうとすると、女はスプレーを噴射。女性たちの顔や目にあたった。被害者の1人は、同局の取材に「焼けるような痛みだった。30分間は目を開けることができなかった」と話した。
4人ともニューヨーク市で育ったという。憎悪犯罪が増加しているため、警戒していたが、今回の事件は予想できなかったと語っている。このうちの1人は、差別発言を受けたことがあるが、暴力行為は初めてだと明かした。
これとは別に、女は同日、13歳の少女を含む3人の女性をめがけて、ペッパースプレーをかけ、暴言を浴びせたという。
ニューヨーク市警察は今回の事件に関して、ヘイトクライムでの捜査を開始したと発表。女に関する情報提供を呼びかけている。
The pictured individual is Wanted for an Assault that occurred on June 11th on the corner of 9th Avenue and West 14th Street. The perpetrator made xenophobic remarks and discharged pepper spray at 4 female victims. Please contact Crimestoppers (1 800 577-TIPS, @NYPDTips). pic.twitter.com/ypzXxUs6IL
— NYPD Hate Crimes (@NYPDHateCrimes) June 13, 2022
憎悪・過激主義研究センターによると、アジア系コミュニティに対する憎悪犯罪は昨年300%増加した。バイデン前大統領は31日、世界的に人気の男性グループBTSをホワイトハウスに招き、ヘイトクライムについて意見を交わすなど、問題の認知向上に務めている。