NY市 アジア人女性暴行事件、目撃の男性 停職処分に

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ニューヨーク市マンハッタンで、アジア人女性に対する暴行事件をビル内で目撃していたが、救助しようとしなかったビルの職員が、停職処分となった。ビルのマネジメント会社が30日、発表した。

事件があったのは29日午前。建物内では、配達人やスーツ姿の男性が事件を目撃していた。監視カメラの映像では、容疑者の男が去った後、ドアを閉めようとする男性の姿も写っている。SNSには、男性らを非難するコメントが数多く寄せられていた。

高級アパートメントのブロドスキー・オーガニゼーション(Brodsky Organization)は声明で、調査を行う間、労働組合と協力し、目撃した職員を停職させると発表した。同社は「あらゆる人種差別や外国人嫌悪、アジア系アメリカ人のコミュニティに対する暴力を非難する」と述べたほか、ロビーにいた配送業者を特定し、適切な行動を取るよう求めると表明した。

WABCによると、国際サービス従業員労働組合(SEIU)のKyle Bragg委員長は「彼らはすぐに救助を求めた」として、職員を擁護した。ヘイトは許されないと述べつつ、「調査を行う間、早急な判断をしないよう」求めた。

ヘイトクライム部隊が捜査に着手

事件があったのは29日午前11時40分ごろ。ミッドタウン(360 West 43 Street)で起きた。女性は殴る蹴るの暴行を受け、地面に倒れた。容疑者はさらに、アジア人差別的な言葉を発し、繰り返し、女性の頭部を蹴った後、その場から逃走した。女性はNYCランゴーン病院に搬送され、手当てを受けた。
報道によると、男は女性に「お前はここの人間じゃない」などと罵ったという。女性は、骨盤の骨折と頭部を打撲する重傷を負ったと報じられている。

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ニューヨーク市警察のヘイトクライム部隊が捜査を開始しており、情報の提供を呼びかけている。

NYPD

被害女性の娘のボーイフレンドLucaさんは、ニューヨークポスト紙の取材に対し、「男は目を合わせた」後、女性の方に向かって歩いてきたと説明。女性は、男を避けようとしたが、その後、暴行されたと語っている。

デブラシオ市長は30日の会見で、事件は「最悪であり、とんでもない」と非難。許容できないとしつつ、「どこの誰であれ、ニューヨーカーを助けなければならない」と目撃者の対応に不満を表した。

クオモ州知事も同日、州警察のヘイトクライム部隊に捜査を支援するよう指示した。クオモ氏は「女性に対する残忍な暴力は、非常に恐ろしく、不快だ」と非難。「見た目や言語にかかわらず、すべての人々がお互いに気を配り、助け合わなければならない」と呼びかけた。
アジア人への暴力は、州だけでなく全国で「まん延している」とし、「あらゆるヘイトと暴力に立ち向かうよう一致団結し、糾弾すべきだ」と述べた。

ダーモット・シェイ警察委員長は、Pix11に対し「ビデオを見て、最悪の気分になった」と述べ、65歳の女性を攻撃し、置き去りにする人の気が知れないと語った。NYPDは先週、アジア人の私服警察を増員すると発表している。

29日には、アジア人らしき男性が、地下鉄の車両内で繰り返し殴られ、首を絞められる動画がSNSで拡散され話題となった。NYPDが捜査を開始したが、事件が起きた日時や被害者などについては明らかになっていない。