挑戦者に聞いてみた、エンタメの殿堂「アポロシアター」アマチュアナイトのオーディション

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©Mashup Reporter

ニューヨークのハーレムにある伝説の劇場アポロシアターが開催するアマチュアナイト。エラ・フィッツジェラルドから、ルーサー・ヴァンドロス、ローリン・ヒル、マシン・ガン・ケリー、H.E.R.、ジャズミン・サリヴァンなど、数々の大物がスターダムのきっかけをつかんだ舞台として知られ、今も世界中から明日のスターを夢見るパフォーマーが挑戦に訪れる。今回は、そんなエンターテイメントの登竜門で、日本からオーディションに挑んだ歌手、吉田りこさんに話しを伺った。

今年3月にオーディションを受けたりこさんは、3人の子供の母親。現在は都内のライブハウスなどに出演し、腕を磨いているという。昨年9月にも挑戦しており、今回が2回目のオーディションとなる。

ーオーディションを受けようと思ったきっかけは?

中高生の頃からバンド活動をしていましたが、自分の時間ができるようになって、音楽活動を7年くらい前から再始動しました。

14、15歳の頃からアメリカで自分を試したいという想いがあったのと、日本では自分の歌うジャンルや年齢ではじかれることもありますが、アメリカは、人種にも関係なく、実力や音楽のみでみてくれるかなという部分がありました。

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前回9月に受けてみて、半年経ってから合格が告げられることもあるとは聞いたのですが、日本で悶々としているぐらいなら、行ってしまえという勢いで受けました。

ーオーディションはどうやって応募したのですか?

事前に応募というのはなくて、自分で場所を調べて、現地に並ぶんです。先着順で200名なので、朝早くから並びました。今回は39番で、サンキューって思うと、なんかラッキーだなって(笑)。

現地ではパスポートなどのIDと、ワクチンを3回接種した証明か検査の陰性証明が求められました。

ー現場の様子や雰囲気はいかがでしたか?

来年の90周年(最初のアマチュアナイトが開かれたのが1934年)に向けた特別番組をつくるらしいのですが、今回は、そのためのメディアの収録が入っていて、前回とは場所も雰囲気も違いました。9月はその場で合格が告げられる人もいましたが、今回は収録が入っているので、おそらくですが、その場で声はかけないとアナウンスで言っていたように思います。

部屋には小さなステージが組まれていて、アポロと描かれた電光掲示板がありました。他の受験者もオーディエンスとして、審査員やプロデューサーの側にいて、彼らに向かって、ステージで一人でパフォーマンスするという、前回とは全然違う形式でした。

9月はピリピリしていましたが、収録が入っているせいか、今回は終始なごやかな雰囲気だった気がします。受験者がディレクターとジョークを飛ばしあったりしていて、ラフな空気が流れていました。

前回のオーディションの様子はアポロシアターの公式ツイッターに↓

ー今回の選曲は?

ジェームズ・ブラウンの「アイ・ゴット・ユー」です。ロックとブルースの要素が合わさったファンクで、ブルースしすぎていないところが好きっていうのがあります。スタッフの方から、ラッキーソングだと言われて、そうなんだ~と思いました。

衣装は、ラフな方が良いっていう記事を読んでいて、デニムのスカートにパーカーの普段着で受けました。

ー 1分半の持ち時間で、ハプニングがあったとお聞きしましたが。

音響さんが、スマホに入れた音源を再生してくれるのですが、私の前にも、途中から再生されたり、止まったりと、きちんと再生されなかった人が二人くらいたんです。私の場合はまず、スマホがすぐに暗くなってしまって。パスワードを入れるために2回くらいステージを行ったり来たりしたんですが、歌い出すと、今度は止まっちゃったんです。接続が良くなかったんでしょうね。ステージから降りてスマホを操作しましたが、これ以上もたもたするぐらいなら、そのままフロアで歌おうと。すると、今度は再生が最初からではなくて途中からで。それでもいいと思って、途中から歌いました。

ー 手応えはいかがでしたか?

急遽入って歌ったのが、良かったのかなと思います。他の受験者が”ナイス・パフォーミング”って褒めてくれて。嬉しかったし、審査員にもそういうふうに伝わっているかもしれないなと思いました。

ー 2度目の挑戦にあたって、どのような準備を?

現地で受験者を指導する日本人の先生から何を言っているかわからないと指摘されて、今回は、ちゃんと伝わる英語を音にはめ込むっていうのを練習しました。

耳で覚えていると、間違えて覚えていたり、抜けてる単語もあって。改めて、歌詞を書き出して確認しました。それと、言葉として言っているだけじゃなくて、歌詞に気持ちを乗せて伝わるように気を遣いました。ジェームス・ブラウンを選曲したのは、シンプルで伝わりやすいというのも理由の一つです。

今回は早めにニューヨークに入ったのですが、紹介いただいた現地の日本人の先生のレッスンを3日間受けてからオーディションに臨みました。歌の細かい技術ではなくて、心持ちや体の使い方を教わりました。

結果は、3ヶ月から半年くらいで出ることを願っているというりこさん。もし今回残念な結果に終わったとしても、もう一度挑戦するという。

目標について、「聞いてくださる方たちが笑顔になれば」と話しつつ、将来は「仕事として成立させたい」と語った。6月には新宿のライブハウスでパフォーマンスを予定しているという。オーディションの合格はもちろん、今後の活躍に期待したい。