アンドリュー・ヤン氏 NY市長選キャンペーン開始。ボデガのイメージ巡り大論争

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15日、ニューヨーク市長選のキャンペーンを開始したアンドリュー・ヤン(Andrew Yang)氏(46)は、ミッドタウンの小規模小売店ボデガに立ち寄り、パンデミックで苦境にあえぐスモールビジネスを支援する姿勢をアピールした。

訪れたのは、スペースの広いデリ風の店舗であったことから、ネットでは「ボデガではない」との指摘が相次いだ。

ツイッターには、ボデガのイメージ写真が投稿されたほか「これはホールフーズジュニアだ」「Dos Torosから出てきて、これがクラシック・ブリトーだと言うようなものだ」「ボデガを知らないのに、市長は無理なのではないか」といった意見が寄せられた。トランプ大統領の姪メアリー・トランプ氏も「自動的に不適格とみなす」とコメントした。

一方「すべてのボデガが老朽化しているわけではない。不平を言っているのは、NYの実態を知らない人だ。イーストハーレムやロウアーイーストサイドの貧困地域にもこのタイプのボデガはある」という意見も。

ヤン氏は、これらの論争に対し「ハハ、僕はニューヨークが好きだ」とツイート。さらに別の店舗の動画を投稿し、改めてボデガを支援すると呼びかけた。

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なおヤン氏は先日、ニューヨークタイムズとのインタビューで、「マンハッタンの2ベッドルームに住み、2人の子供に遠隔学習をさせ、さらに在宅勤務することなど想像できるだろうか?」とパンデミック中にアップステートへ引越した理由を語った。この発言はニューヨークで暮らす一般人を知らない発言だとして、批判を浴びている。

ボデガのオーナーは擁護

13,000件のボデガを代表するボデガズ・スモール・ビジネス協会のフランク・マルテ(Frank Marte)氏は、ボデガについて店の広さや在庫点数など、特定の要件はないとEaterに語った。

ボデガは、スーパーと似た品揃えで、デリのようにサンドイッチなども販売する地域住民の憩いの場のような存在。マルテ氏は「友情を育み、リラックスでき、誰かが話を聞いてくれるような店のことだ」と述べた。

ボデガはパンデミック以降、マスクの着用に関する顧客とのトラブルのほか、万引や強盗などの犯罪が増加している。組合組織の「ユナイテッド・ボデガズ・オブ・アメリカ」は、警察に対しビジネスや労働者の保護を求めている
マルテ氏は、ヤン氏のボデガ支援に関心があると回答している。

なおヤン氏が立ち寄った店は、マンハッタンのヘルズキッチンにある「7 Brothers Famous Deli」だという。
オーナーのSofwan Qaid氏は、ヤン氏の動画に非難が寄せられていると聞き、「良くないね」とネットユーザーへの落胆を示したという。自身の店は、ボデガとデリの両方を兼ね備えていると思っていると述べ、ヤン氏のメッセージに賛同すると同サイトに語った。

混戦の市長選

起業家のヤン氏は、2020年の大統領選でアジア系アメリカ人として初めて民主党から出馬を表明。ユニバーサル・ベーシック・インカムを公約に掲げ、知名度を上げた。

現在2期目のデブラシオ市長は、任期満了に伴い退任する。6月22日に行われる民主党予備選には、エリック・アダムス(Eric Adams)ブルックリン区長や、ベテラン政治家のスコット・ストリンガー(Scott Stringer)会計監査官、シティ・グループの元副会長レイ・マグワイア(Ray McGuire)氏のほか30人以上が名乗りを上げており、混戦が予想されている。

昨年SlingshotStrategiesが実施した世論調査で、ヤン氏は他の民主党候補の中で最も高い支持率を獲得している。

今回のニューヨーク市長選では、50万人に対するユニバーサル・ベーシック・インカムや、高速ブロードバンドへのユニバーサルアクセス、少人数制クラスの実現、市による地下鉄システムの管理、低所得者向けの「人民銀行」の設立などを訴えている

キャンペーン初日には、ブロンクス出身の元市議会議員で、先日、下院議員に就任したリッチー・トレス(Ritchie Torres)氏がヤン氏の支持を表明した。