「セントラルパークカレン」2度の虚偽通報をしていた

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黒人男性に襲われたと虚偽通報を行ったとして7月に起訴された白人女性のエイミー・クーパー(Amy Cooper)被告が、事件時、2度目に渡って通報をしていたことが分かった。

事件があったのは5月22日。著名なバードウォッチャーの黒人男性、クリスチャン・クーパー(Christian Cooper)氏が、セントラルパークで、犬を放し飼いで散歩させていたエイミー氏に、リードをつけるよう注意した。エイミー氏は要求を拒否した上、警察に電話をかけ「アフリカ系アメリカ人の男性が、犬と私を脅している」と虚偽の通報をした。

後に、このやりとりを撮影した動画がSNSで拡散され、「カレン」が白人特権を利用して、黒人男性の命を危険にさらしたと批判が殺到した。この際、2度目の通報をしていたことは、明らかにされていなかった。

事件を重く見たマンハッタン地区検事長は7月、エイミー氏を虚偽通報の罪で起訴した。

ニューヨークタイムズによると14日、マンハッタンの刑事裁判所で行われた初公判で、検事のJoan Illuzzi氏は、エイミー氏は「公園で彼女を暴行しようとしたという通報を2度行った」と述べ、2回目の通報内容を公開した。

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Illuzzi氏は、エイミー氏は「人種差別的な攻撃かつ恫喝を目的とした」方法で警察を使い、彼女の行動は「黙殺できないものだ」と主張。エイミー氏に対して、この行動がいかに有害であるかを学ぶプログラムに参加させるなど、責任を問う意向を明らかにした。

有罪判決の場合、条件付き釈放もしくは、コミュニティサービスの実施やカウンセリングなどの義務が科せられる可能性がある。
Illuzzi氏は、検察局はエイミー氏と、禁固刑を回避するための司法取引に関して交渉中だと述べた。 

さらに、マンハッタン地区のサイラス・ヴァンス・ジュニア(Cyrus R. Vance Jr)検事長は同日、「われわれは、虚偽かつ人種差別的な911の通報を行った人物に、責任を負わせる」と声明を発表。「クーパー氏のデマへの警察の対応で、けがを負ったり、殺害された人はいなかったのが幸いだ」と語った。

事件の発覚後、エイミー氏は公に謝罪を発表した。勤務先からは解雇された。連れていたコッカースパニエルは、いったん没収されたが、現在はエイミー氏の元に戻されている。

なお被害を受けたクリスチャン氏は、エイミー氏の起訴に反対の姿勢を示していた。「さらなる不幸が積み重なるだけだ」として検察官の調査に協力しない意向を語っている。

事件の数週間後、ニューヨーク州議会は人種や性別、国籍などに基づいた虚偽通報を禁じる法律を承認した。緊急性や理由なしに911に通報することは、公民権の侵害にあたる。