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黒人男性を虚偽通報 セントラルパークカレン事件、起訴取り消し

セントラルパークで黒人男性に脅されたと虚偽の通報を行い、起訴された白人女性エイミー・クーパー(Amy Cooper)さん(40)の刑事裁判に関して、マンハッタン地検は裁判所に起訴の取り消しを申し立て、公訴が棄却された。

エイミーさんは昨年5月25日、セントラルパークの「バンブル」で、紐をつけずに犬を散歩させていた。バードウォッチングをしていた同性の黒人男性クリスチャン・クーパー(Christian Cooper)さんが紐をつけるよう注意すると、エイミーさんは拒否し、その場で通報。「アフリカ系アメリカ人の男性が、犬と私を脅している」と伝え、パニックになった様子で「早く警官をよこして」と要求した。

このやりとりを撮影した動画は、大きな反響を呼び、エイミーさんは白人特権を利用し、黒人の命を危険にさらしたとして「セントラルパーク・カレン」と呼ばれるようになった。事件後、エイミーさんは公に謝罪を発表したが、勤務先から解雇された。

起訴取り消し

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事件を重く見たマンハッタン地区のサイラス・ヴァンス・ジュニア(Cyrus R. Vance Jr)検事長は昨年7月上旬、虚偽通報をした罪でエイミーさんを起訴したと発表した。
有罪となった場合、条件付き釈放もしくは、コミュニティサービスの実施やカウンセリングなどが義務付けられる可能性が報じられていた。

マンハッタン地検がNPRに提供した声明によると、Joan Illuzzi検事補は判事に、事件内容と被告人が初犯であることを理由に「軽罪のケースにおけるこれまでの検察の立場」に従って、「代替として、修復的司法による解決を提案した」と経緯を説明。提案は「懲罰を与えるだけでなく、教育し、コミュニティの回復を促進するものだ」と話した。

Illuzzi氏はまた、エイミーさんが、人種アイデンティティが人々の人生に及ぼす影響など、5回のセラピーセッションを完了しており、セラピストはエイミーさんは「感情的な体験を通じて」多くを学んだと評価していると報告。

エイミーさんが検察が満足する程度まで修復的司法のセッションを完了したため、マンハッタン地検は起訴取り下げに動き、判事が起訴取り下げの求めを認めた。

弁護人のロバート・バーンズ(Robert Barnes)氏は、ツイッターで「マンハッタン地区検察局が、徹底的かつ誠実な調査を行った後、エイミー・クーパー氏に対する訴訟は全て取り下げられた」と発表。一方「この他に、不十分な捜査に基づき、誤った結論を急いだ人々がいる。彼らはまだ法的責任を問われていない」と投稿した。

バーンズ氏は昨年5月、Law&Crimeに対し、雇用主は公平な調査を行うと約束しながら、それを怠り、エイミーさんを解雇したとして提訴する可能性があると語っていた。
バーンズ氏は、MAGAハットを着用したコビントン・カトリック(Covington Catholic)校の学生ニック・サンドマン(Nick Sandma)さんの代理人を務めている。サンドマンさんに関する誤った報道を行ったとして、メディアを訴訟。CNNなどと巨額の和解金を支払うことで合意している。

マンハッタン地検の検事長に立候補しているエリザ・オーリンズ(Eliza Orlins)氏は、検察の取り下げは「驚くべきことではない」と述べ、「特権階級を責任追及から保護されるために設けられたシステムは、このように機能するのだ」と棄却を批判した。

通報されたクリスチャン・クーバーさんは事件後、ワシントンポスト紙への寄稿で、エイミーさんの起訴について「割り切れておらず、捜査に協力しないことを選択した」と語っている。彼女は職を失うなど、すでに高い代償を支払っており「刑事告発によって得られるものは少ない」と、当初から検察に協力しない姿勢を示していた。

クリスチャンさんは「一個人に焦点を当てるのは、過ちだと思う」と述べ、重要なのは「米国に長く根付いている黒人とヒスパニックに対する根深い人種偏見だ」と指摘。「(同じ日に起きた)ジョージ・フロイド氏殺害事件のように、恐ろしい結果をもたらす可能性がある」と語った。
来年の選挙のために「野心的な検事は、現在の社会情勢の中で、(エイミーさんに)1年の禁固刑を科す可能性があるだろう」と述べつつ、「肉体的・精神的に害の及んでいない犯罪であり、罪に値しない」と述べた。

今回の取り下げに対して、クリスチャン氏は「ワシントンD.Cの議会が、大半の黒人やヒスパニックの人々を否定し続けている」と述べ、「人種間平等を懸念する人々にとって、より重要な問題がある」とニューヨークタイムズに語った。

なおセントラルパークカレン事件の数週間後、ニューヨーク州議会は人種や性別、国籍などに基づいた虚偽通報を禁じる法律を承認した。緊急性や理由なしに911に通報することは、公民権の侵害にあたる。

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