16日、eコマース大手の米アマゾン・ドット・コム(Amazon)は、オーガニック食材を中心としたグロッサリーチェーンのホールフーズ・マーケット（Whole Foods Market）を買収することで合意したと正式に発表した。買収金額は137億ドル（約1兆5000億円）で、アマゾンはホールフーズ株を一株たり42ドルで買受ける。前日のホールフーズ・マーケットの株価は33.06ドルで、アマゾンが支払う買収プレミアムは約27%となる。
今回の買収金額は、2009年に買収したシューズオンラインストアZappos(ザッポス)の12億ドルの10倍以上となり、アマゾン史上最高の買収金額となる。
ホールフーズ・マーケットは、過去数年、業績が伸び悩み、アクティビスト投資家として知られるヘッジファンドのジャナ・パートナーズや、投資顧問のニューバーガー・バーマンらシェアホルダーから売却が呼びかけられていた。共同創業者でCEOのジョン・マッケイ（John Mackey）は「このパートナーシップは、ホールフーズマーケットのシェアホルダーの価値を最大化すると同時に、最高の品質・体験・利便・革新を顧客にもたらすという我々のミッションを広げることとなる」と述べた。
一方、アマゾンは買収により、ホールフーズ・マーケットが全国に展開する430以上の店舗を一挙に獲得することとなり、より多くの顧客へ、生鮮食品などの短時間配送や、オーダーした商品を店舗でピックアップできるサービスの提供が可能となる。食料品のオンライン販売は、ミレニアム世代を中心に利用が多く、同世代が今後、家庭を持つ時代に突入することで、市場の拡大が見込まれている。
買収にあたり創業者でCEOのジェフ・ベゾス（Jeff Bezos）は「ホールフーズ・マーケットは約40年にわたって、顧客に満足とよろこび、栄養を提供してきた。彼らはすばらしい仕事を行ってきた。我々はこれを継続していきたい」と述べた。
ホールフーズ・マーケットは、同ブランド名での営業を続け、これまで同様に世界中の信頼の高いパートナーから仕入れた食材を流通する。ジョン・マッケイ氏がCEOを続投し、テキサス州オースティンの本社も変更をしない方針。
買収の知らせは、ウォルマートなど業界の大手プレイヤーの株価にも影響を及ぼした。
amazonは、結局タダで買収したことに!？
買収の発表により、amazon株が2.97%上昇。株価は993.40ドルとなり、時価総額は140億ドル以上膨らみ、今回のホールフーズマーケットの買収額を上回った。
Free deal? Amazon’s market cap is so huge that a 2.97% gain would add the cost of the Whole Foods deal to its value https://t.co/Qa11d1e22a
— Wall Street Journal (@WSJ) 2017年6月16日
コンサルティングファームのCowen & Companyによると、アマゾンとホールフーズ・マーケットの食料品の販売規模は、両社合わせて米国全体の3.5%ほどで、買収により、米国で５番目に大きな食料品小売が誕生することになるという。
業界最大手、ウォルマートも買収を進めている
食料品の小売分野では、Walmart（ウォルマート）が最大で、2016年の市場シェアは14.45%を占める。同社は、昨年、オンラインショッピングサイトJet.comや女性アパレルのオンライン小売店「ModCloth（モドクロス）」を買収。
また、アマゾンのホールフーズ・マーケット買収の発表と同日、オンラインからスタートしたメンズアパレル小売「Bonobos（ボノボス）」の買収を発表した。
Wal-Mart agreed to acquire Bonobos, but Amazon-Whole Foods stole the spotlight https://t.co/rg7GOppP36 pic.twitter.com/aLr0YZ3xLF
— Bloomberg (@business) 2017年6月16日
ウォルマートは、全米に4500店舗を展開する強みとオンラインの技術を活かし、店舗で商品をピックアップする顧客へのディスカウントや、無料２日間配送といったサービス開発を急速に進めている。
一方のアマゾンは、実店舗型のビジネスとして、「Amazon Books」７店舗と、シアトルではグロサリーストア「Amazon Go」を展開している。
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ホールフーズのユーザーの反応
コメディアンのジム・ガフィガン。（以前ホールフーズが、量り売り商品に関して、実際の金額よりも、多めに課金していた事件があった）「Whole Foodsにオーバーチャージ（過剰課金）されていたのは、僕だけじゃなかったんだね。」
Nice to know I wasn't the only one overcharged by Whole Foods.
— Jim Gaffigan (@JimGaffigan) June 16, 2017
(amazon CEOのジェフ)ベゾス「アレクサ、何かWhole Foodsで買ってよ。」アレクサ「Whole Foodsを買いますね」ベゾス「ゲッ」
Bezos: "Alexa, buy me something from Whole Foods"
Alexa: "Buying Whole Foods"
Bezos: Shit
— Jeff Lewis (@ChicagoPhotoSho) June 16, 2017
「amazonとWhole Foodsって全然違うよね。Whole Foodsは、一つのショッピングバッグに、ぱんぱんに食料品を詰め込むけど、amazonは１つのカミソリを3フィートくらいある（大きな）ボックスに入れて送ってくるよね。」
Amazon so different from Whole Foods. Whole Foods crams a ton of groceries into 1 bag, Amazon ships you a razor in a 3 foot box.
— MARK SIMONE (@MarkSimoneNY) June 16, 2017
「amazonがWhole Foodsを13.7ビリオンで購入したって、それは、Whole Foodsのオーガニックベリー、ショッピングバック11袋分と同じ金額じゃないか。」
Amazon buys Whole Foods for 13.7 billion, roughly equivalent to 11 shopping bags of their organic berries.
— Warren Leight (@warrenleightTV) June 16, 2017
Netflixのトークショーでホストを務めるChelsea Handler「もしWhole Foodsで、既に$13ビリオンを使っている人がいたら、リツイートして」
Retweet if you've also spent $13 billion at Whole Foods.
— Chelsea (@Chelseashow) June 16, 2017
ニューヨークタイムズの読者「そんな金額で、何を得たの？グラノーラ2バッグ？」
One NYT reader's reaction to Amazon saying it will buy Whole Foods for $13.4 billion https://t.co/Qpq2RQokQh pic.twitter.com/sazFpZ4smk
— The New York Times (@nytimes) 2017年6月16日
ホールフーズの食品そのものが高いのと、その買収額が異常に高いと思っている人が多いようだ。
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アレクサの反応
CNNがアレクサ（現在amazonが発売している人工知能を搭載したマシーン）に買収の件をインタビュー。スラスラと回答するが、どのような質問にも、今回の買収のアナウンスを繰り返し説明してしまう。まだインタビューされることには慣れていないようだ。
米アマゾンは、28日（月）のホールフーズ買収を前に食料品値下げを発表。卵やアボガド、肉、野菜などの生鮮商品がお求め安くなるという。