NY州 老人ホームのコロナ死者数50%以上多い可能性。司法長官報告

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ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は28日、介護施設における新型コロナウイルスへの対応に関する報告書で、州保健局のデータよりも多くの死者が出ている可能性があると発表した。

司法長官室が約600ある介護施設のうち62カ所を調査したところ、新型コロナウイルスの感染による死者数は1,914人で、公表数字の1,229人を56%上回った。
保健局のデータでは、介護施設の死者数は8,711人だが、同様の割合を適用した場合、13,500人以上になる可能性がある。

州保健局のデータには、介護施設から病院に搬送され、病院で死亡した入居者を含まないが、司法長官室が報告した数字にはこれらの人々が含まれている。

AP通信は昨年8月、介護施設が報告した死者数と、保健局の公表数字に大きな隔たりがあり、死者数は65%以上過少報告されていると報じていた。

施設での死者のみを集計している問題に関して、ハワード・ザッカー州保健局長は「二重に集計されるのを防ぐため」と昨年の州議会で報告している。

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保健局は昨年3月25日に発行したガイダンスで、新型コロナウイルスと診断された、または感染の疑いがあるという理由で、再入居もしくは入居を拒否すべきではないと定めたほか、病院から退院する「容体が安定した」入居者に関して、受け入れ前の検査を禁止する決定を下した。
クオモ州知事は方針に関して、老人ホームの入居者が病院に残されたり、行き場を失うことがないようにするための方策だと説明していた。なお同ガイダンスは5月10日に撤回された。

ガイダンスは介護施設での感染拡大を招いたとして、責任追求を求める声が上がった。これに対し州保健局は7月下旬、施設内の感染は、無症状の従業員によって拡大したと反論している。

今回の調査では、3月25日から5月8日までに6,326人の病院の入院患者が、310箇所の介護施設に入居していたことが分かった。4月8日以降、4,000人の入居者が死亡している。

ジェームズ氏は3月に発行したガイダンスは「入居者に危害のリスクを高め、リスクを評価するためのデータを不明瞭にした可能性がある」と指摘した。
このほか、CMSスタッフの評価が低い施設で死亡率が高かったことや、防護服(PPE)・初期段階におけるスタッフや入居者への検査の不足、規則の遵守や感染予防手順の欠如などが、危害のリスクを高めたと報告している。