NY市長が新提案「マスク着用なら入店拒否」

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パンデミック中、マスク着用を拒否した市民に罰金を科す行政命令まで出したニューヨーク市だが、方針を一転。今度は、マスクを外すよう求めている。

6日、地元ラジオ番組1010 WINSに出演したエリック・アダムス市長は、万引きや強盗が増加している問題について「全ての店舗に対し、マスクを外さない顧客の入店を許可しないよう呼びかけている」と明かした。「万引きや重罪を犯した人物を特定するために、今入手できるテクノロジーを活用しなければならない」と述べ、これらのマスクを着用して入店する人々は「パンデミックでなく、警察の逮捕を恐れていることが多い」と加えた。ただし、入店後は、本人が希望する場合、マスクを引き続き着用するのは問題ないとの考えを語った。

さらに、ニューヨーク市警察には「ペイド・ディテール」部門(特別な訓練を受けた現役の警官が、民間の請負業者として警備などを行う)があり、非番の警官は、店舗や地域を警備することが許可されていると説明。自身の警官時代を振り返りつつ、制度は「非常に成功を収めており、高級店などでも利用するよう呼びかけている」と語った。

市内の万引き件数はパンデミック後急増し、昨年の万引き件数は約63,000件で、前年から45%増加した。2019年は約38,000件だった。ただし市内の先月の万引き件数は4,276件で、前年同時期より10%減少している。

1月にブルックリンで発生したジュエリーショップでの強盗事件©TikTok
昨年8月、高級ヨガウェアで発生した集団万引き

マンハッタンのアッパーイーストサイドでは3日、防護用のスーツを着た男がデリに押し入り、67歳の店員を殺害する事件があった。擁護団体「ボデガ・アンド・スモール・ビジネス・グループ」は、アダムス市の提案は十分でないとし、「マスクの着用を今すぐ違法」とし、警察に取り締まりをさせるべきだと主張している。

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実行性に疑問を呈する声もある。最近被害にあったというブルックリンのボデガのオーナーは、ニューヨークポスト紙の取材に、皆にマスクを外すよう聞いてまわるのか?と懐疑的な見方を示し、「彼らはマスクを外した上で、強盗するだろう」と解決策にならないと主張した。

ある警察関係者は、犯罪者と対峙したい店主はいないと指摘。市長は、州知事に法律の改正を掛け合うべきだと語っている。