NY老舗高級家具店「ABCカーペット&ホーム」経営破綻

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ニューヨークにある老舗高級家具店「ABC カーペット&ホーム」(ABC Carpet & Home)が8日、連邦破産法第11条の適用を申請した。ニューヨークポスト紙が報じた。

前日には、マンハッタンのフラットアイアンにある旗艦店と、ブルックリンのインダストリーシティにあるアウトレット店など資産を競売にかける予定だと報じられていた。既にイランのラグ業者や、プライベートエクイティ企業のWindsong Global、Hilco Brandsなどが入札を行っており、クリス・バーチ氏のバーチ・クリエイティブ・キャピタルなども入札に興味を示しているという。

創業125年目を迎えるABCカーペット&ホームは、100万円以上のカーペットや6万円のベルベット製ピローなど高級インテリア用品を販売する。家具だけでなく、食器や、オーナメント、ジュエリーなどを取り揃え、個性的でユニークな商品を取り扱うことから「ニューヨークで最も魅惑的なホーストア」とも称されていた

コロナの影響によって、長期間店舗の閉鎖を余儀なくされるなど、経営は大きな打撃を受けた。現在1億円以上の家賃を滞納しており、家主と係争中とも報じられていた。

裁判所に提出された資料によると、売上は2018年から50%減少し、2021年は2500万ドル(約27.5億円)だった。創業者のひ孫で現在のオーナー、ポーレット・コール(Paulette Cole)氏は、損失を埋めるため、270万ドル(約3億円)の私財を投じてきたという。

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破産法の適用前、アーロン・ローズ最高経営責任者(CEO)はニューヨークポスト紙に対し、「戦略的投資家と、企業のレガシーを受け継ぐための長期財政計画を策定する話し合いを行っている」と説明。その間、事業は通常通り行うと語っている。

なお店内には、スターシェフのジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリスティン氏が手がける人気レストラン「ABCキッチン」が併設されている。ブルームバーグは、飲食店の事業に影響はないとしている。