米ABC大人気コメディ「ロザンヌ」打ち切り レイシスト発言で

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29日、米ABCテレビは、女優でコメディアンのロザンヌ・バー(Roseanne Barr)が主演する人気コメディ番組「ロザンヌ」(Roseanne)の製作を打ち切ると発表した。番組の打ち切りは、ロザンヌ・バーが行った、前オバマ大統領の上級顧問に対するツイッターでのレイシスト発言を受け、決定された。

28日夜、ロザンヌ・バーは、前大統領上級顧問のヴァレリー・ジャレット(Valerie Jarrett)氏のイニシャルを用い、イスラム教組織団体のムスリム・ブラザーフッド(Muslim Brotherhood)と映画”猿の惑星”の子供だ(Muslim brotherhood & planet of the apes had a baby=vj)と書いた人種差別的な内容のツイッターを投稿。この内容は多くの非難にさらされ炎上した。

29日の朝、同氏はツイッターを削除し、悪い冗談だったことを認め、「ヴァレリー・ジャレット氏とすべての米国人に謝罪する。」と述べた。またツイートを辞めると宣言している。

同日の午後、ABCエンターテインメントのチャニング・ダンジー (Channing Dungey)社長は、「ロザンヌのツイートは、嫌悪に満ちており、許容できない。我々の価値とは矛盾する。」と述べ、番組の打ち切りを発表した。カリフォルニア州サクラメント出身のダンジー氏は、2016年に、アフリカ系アメリカ人女性として初めて、大手の放送ネットワークの社長に任命された

高視聴率を誇る「ロザンヌ」

「ロザンヌ」は、アメリカ労働者階級の家庭を舞台にしたTVコメディシリーズで、1988年から1997年までABCで9シリーズが放送された。ニールセン調査では、1989年から1990年のテレビショーで最も視聴された番組となるなど、高い人気を誇った。
ABCは昨年5月に、約20年ぶりとなるシーズン10の制作を発表。3月27日の初回放送では、1,800万人以上が視聴するなど高視聴率を獲得した。これは、18-49歳におけるコメディ番組として、2014年のCBS「ビッグバンセオリー」(The Big Bang Theory)のオープニング以来の高い視聴者数となる。
この成功を受け、ABCは13エピソードからなるシーズン11の制作を発表していた。
トランプ大統領もロザンヌ・バーに対し、番組の復活と成功を祝福するなど、大きな話題となっていた。ロザンヌ・バーもトランプ大統領の熱心な支持者として知られており、陰謀論などを度々ツイートしている。

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NBCニュースによると、iSpot.tvは、9エピソードの打ち切りによる広告収入などの損失は、2,700万円(約25億円)と試算されている。

黒人女性の映画監督エイヴァ・デュヴァーネイ(Ava DuVernay)さんや、女優のヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)さん、テレビプロデューサーのションダ・ライムズ(Shonda Rhimes)さんなど、ABCのダンジー氏の素早い決断に賞賛する声が相次いでいる。

同番組のコンサルティング・プロデューサー、ワンダ・サイクス(Wanda Sykes)は、もうこの番組には協力しないと宣言した。

ロザンナ・バーのエージェンシー、ICMパートナーズ(ICM Partners)は、彼女との契約を解除すると発表した。