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「負の連鎖から抜け出すしかない」著名投資家パリハピティヤ氏がCoreWeaveに示す処方箋――All-In最新回

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米国の人気テック系ポッドキャスト「All-In」は、10月16日(米国時間)配信の最新回(#293)で、AIクラウド企業CoreWeave(NASDAQ: CRWV)の社債急落を取り上げた。著名投資家のチャマス・パリハピティヤ(Chamath Palihapitiya)氏は、デフォルト(債務不履行)に備える保険の価格からみて「デフォルトするかどうかは五分五分だ」と語った。そのうえで同氏は、CoreWeaveは固定価格契約と上昇する資金調達コストが生む「負の連鎖」から抜け出す必要があると主張した。

何が起きたのか

番組は冒頭、10月13日のパリハピティヤ氏のX(旧Twitter)投稿と、イーロン・マスク氏の反応を取り上げた。パリハピティヤ氏が、CoreWeaveが6月に発行した2032年償還の無担保社債(表面利率9.625%)の利回りが一時15%に達したことを示すチャートを投稿すると、マスク氏が一言「Yikes(うわっ)」と返したのだ。

日本経済新聞によると、英LSEGのデータでこの社債の価格は14日、額面1ドルあたり80セントを下回った。同日、CoreWeave株は15%安と急落し、同業のNebius Group(NASDAQ: NBIS)は10%安、Oracle(NYSE: ORCL)は9%安で引けた。9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、追加利上げ観測が高まったことも重なって、ナスダック総合株価指数は1.9%下げた。米調査会社Gartnerは同じ14日、コスト圧力と差別化の欠如を背景に、ネオクラウド事業者の8割超が2030年までに独立した事業運営を続けられなくなるとの予測を公表した。

米CNBCによると、15日には5年物CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドが一時1,140ベーシスポイント(bp)を超えた。S&P Global Market Intelligenceの担当者は、1,000bp以上は一般に信用不安を示す水準だと説明している。CoreWeave株は16日も下げ、終値は61.39ドルだった。

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パリハピティヤ氏「負の連鎖から抜け出す方法を見つけなければならない」

番組はまず、CoreWeaveのマイケル・イントレーター(Michael Intrator)CEOが3月に同番組で語った映像を振り返った。同CEOは、Microsoftなど大口顧客との契約、購入したGPU、データセンター契約を一つの独立した「box(箱)」にまとめると説明した。顧客からの支払いはまず電力やデータセンター費用、借入の利息と元本に充てられ、残りがCoreWeaveに入る。各契約ごとに資金調達を分離することで、一つの契約の問題が会社全体に波及しにくく、貸し手の信頼を得ながら調達コストも下げられる、というのが同CEOの主張だった。

特に同CEOが強調したのは、「5年契約なら、そのうちの約2年半で費用と借金をすべて回収できる」という経済性だ。契約の前半で投資を回収できれば、残りの期間は利益と返済余力が生まれる。この実績を積み重ねることで、貸し手は金利を下げて融資を続けてくれる、という説明だった。

パリハピティヤ氏は、この「金利は下がる」という前提が崩れたとみる。CDSが同週の水準で約953bpまで上昇したとし、そこから示唆される5年間のデフォルト確率は約55%になると指摘した。「つまり五分五分だ。これは私の意見ではない。保険市場がそう値付けしている」。

同氏によると、契約は固定価格のため、計算資源の相場が上がっても収入は増えない。一方、すでに署名済みの顧客契約を履行するためには、既存債務とは別に、さらに約350億ドルの資金調達が必要になるという。金利が上がれば利ざやが削られ、損益分岐に近づく。それがCDSと社債利回りを押し上げ、調達コストがさらに上がる。「これが彼らのはまっている負の連鎖だ。抜け出す方法を見つけるしかない」。

同氏の示す処方箋は具体的だ。違約金を払ってでも一部の長期契約を解約し、計算資源をスポット価格で売るべきだという。同氏の試算では、固定契約とスポット価格の差を活かせていない分として、200億〜300億ドル規模の機会損失がある。ただし、「本当に危ないとは思わない。だが、これは信用で成り立つゲームだ」とも述べている。

同氏はさらに、米10年債利回りが5.5〜6%に上がれば、借入金利との差で稼ぐ事業モデルは全般に大打撃を受けると警告した。

ネオクラウドを避けるホロウィッツ氏

ゲスト出演した著名ベンチャーキャピタルa16zのベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)氏は、ネットバブルとの違いを強調した。「ネットバブルのときは需要が足りなかった。AIでは需要不足は起きていない」。同氏によると、出演前日にAmazonのアンディ・ジャシーCEOと話した際、「2028年まで何もかも品切れだ」と言うと、同CEOは「2028年より先だろう」と応じたという。

それでも同氏の会社は、ネオクラウドに一社も投資していない。かつて自ら創業した会社で、3年契約で確保した通信回線の価格が短期間で暴落した経験を挙げ、「(バブルを)経験した身として、あの構造全体が怖い」と語った。パリハピティヤ氏の処方箋にも慎重で、「スポット価格をのませるのが最も難しいのは、投資適格の大口顧客だ」と指摘した。

サックス氏の見立て「単なる値動き」

大統領科学技術諮問会議(PCAST)共同議長のデビッド・サックス(David Sacks)氏は「これは単なる値動きだ。根本的な何かが変わったとは思わない」と述べた。計算資源の需要は伸び続け、供給は電力や建設の制約で追いつかない。数世代前のGPUでさえ高値で貸し出されている、というのが根拠だ。

同氏は、社債の利回りが上がっても、CoreWeaveが既に発行した社債の利払いが増えるわけではないとも指摘したほか、「箱」はMicrosoftのようなテナントの信用力に依存しており、資金調達という観点において深刻な信用上の問題があるとは考えにくい、と語った。また、独自の資金源を持つマスク氏の企業と違い、CoreWeaveは長期契約があってこそ融資を受けられるとして、スポット販売への転換には難しさがあるとの見方を示した。

今後の注目点

  • CoreWeaveの次の四半期決算:6月末で約1,037億ドルある受注残の消化と、借入コストの推移。サックス氏は投資の回収期間を最も注視する指標に挙げ、回収が長引けば警戒すべきだとした。
  • 社債利回りとCDS:1,000bpを下回るかどうかが、市場の落ち着きを測る目安になる。
  • 米金利と財政論議:利上げ観測の行方と、中間選挙(11月3日)後の財政赤字をめぐる議論。