ホーム ニュース トレンド マスク氏、スターシップ次回...

マスク氏、スターシップ次回飛行で「シップ回収」に挑戦へ 時期は「感謝祭の少し前」

11
rocket launch
Image generated with Adobe Firefly

米スペースX(SpaceX、SPCX)とテスラ(Tesla、TSLA)を率いるイーロン・マスク氏は10月10日(米国時間)、テキサス州オースティンのテスラ工場「ギガテキサス」で開かれたイベント「X Takeover」にオンラインで出演した。大型宇宙船「スターシップ」の15回目の試験飛行について、打ち上げは「4〜6週間後」で、感謝祭(11月26日)の「少し前」になるとの見通しを示した。この飛行では、上段の宇宙船「シップ」を発射塔で受け止める回収に初めて挑むという。

次の飛行で「シップ」を塔でキャッチ

マスク氏によると、15回目の飛行では、すでに実証済みのブースターに加えてシップの回収を試みる。成功すれば、軌道級ロケットのすべての部分を回収する初めての例になると強調した。その次の飛行では、両段を再び飛ばすことを目指すという。

時期については、改良の一部に「タンクの中に入って」行う作業があり、正確な日付は決まっていないと説明した。司会者から、いつもの「2週間」ではないのかと問われると、「2週間ではないと確信している」と応じた。

14回目の飛行で上昇中にエンジン1基が停止した件については、原因はエンジン用コンピューターのソフトウエアの不具合とみられると述べた。ほかのエンジンに同じ問題は見られなかったため、軌道投入に進んだという。マスク氏は、帰還に必要な噴射ができずシップが軌道に取り残されることを最も懸念したと明かし、耐熱シールドは「極めて頑丈だった」と評価した。

Advertisement

背景:「上場以来最大の好材料」の可能性

スターシップは9月28日の14回目の飛行で初めて軌道に到達し、通信衛星「Starlink」の新型V3を26基放出した。ただ、エンジン停止を受けて飛行は予定より短縮された。

15回目の飛行の目標日は、関連サイトによると米連邦航空局(FAA)の計画上、11月8日とされ、以前の10月19日から後ろ倒しになった。SpaceXは公式の打ち上げ日を発表していない。マスク氏が示した「4〜6週間後」という見通しとも合う。

米モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は10月5日付のリポートで、15回目の飛行でのシップ回収は「上場以来最大の好材料になり得る」と指摘した。同氏は飛行の時期を10月下旬〜11月上旬と見込んでいる。一方で、株価の下振れ要因の一つに、スターシップの試験の深刻なつまずきを挙げた。

そのほかの発言

Optimus:「手」が最大の難関

テスラの人型ロボット「Optimus」について、マスク氏は手と腕の細かい動きが「驚くほど難しい」と語った。小さなネジをつまんで木にねじ込むように、精密さと力を同時に必要とする動作は、デモでさえ実現した手を見たことがないという。触覚センサーの配置や、ピクルスの瓶を開ける際にゴム状の皮膚が滑る問題なども例に挙げた。

量産は最終的に大規模になるとしつつ、立ち上がりは「非常にゆっくり」だと述べた。車と違い、ロボット向け部品の供給網がまだないためだ。中国が電動モーター用磁石の輸出を制限したことで開発が「2〜3か月遅れた」とも明かし、すべての部品を国内で製造できる体制の必要性を強調した。

テスラはOptimusを今後の成長の柱と位置づけており、高級車「Model S/X」の生産を終えて設備を振り向けている。報道によると、将来的には週2万台の生産が目標とされる一方、8月時点の生産は週数百台にとどまる。

Terafab:「チップの作り方は知らない」

テスラとSpaceXが中心となって計画する半導体工場「Terafab」について、マスク氏は「チップの作り方は全く分からない。でも、やり遂げる」と語った。インテル、サムスン、TSMCの工場を見学した際、特注の製造装置がほとんどなかったことに驚いたという。まず汎用装置で始め、改良を重ねて生産性を高める考えだ。

チップ業界は「リスクを避けすぎている」とも指摘した。ギガテキサスの研究施設で、設計から製造、パッケージング、試験までを一つの拠点で回し、通常は2年かかる設計周期を「年10回」に縮めることを目指すという。ただ、実現には「かなりの年数がかかるかもしれない」と認めた。

Terafabは3月に発表され、4月にはインテルが参加した。マスク氏は、同社の「14A」プロセスを使うと述べている。最近はTSMCとの協議も明らかになったが、マスク氏はXへの投稿で、Terafabは自社で建設・運営すると強調した。TSMCの関与は、望むなら一部区画をサブリースする程度にとどまるとの考えを示している。

市場・事業への含意

  • スターシップのシップ回収が成功すれば、SpaceXの再使用体制と打ち上げコスト競争力に対する市場の評価が高まる可能性がある。
  • 一方、15回目の飛行が再び技術的問題で延期されれば、スターシップの開発スケジュールとStarlink拡張、将来的な打ち上げ需要への期待に影響しうる。
  • Optimusについては、量産初期の部品供給網と磁石調達がボトルネックになる可能性がある。テスラにとっては、ロボット事業の立ち上がり速度を左右する要因となりうる。
  • Terafabは長期的なAIチップ調達の内製化構想だが、製造技術、歩留まり、投資規模、パートナー構成が未確定であり、短期的な業績材料とは見なせない。

今後の注目点

  • テスラの新型Roadster発表イベント(10月15日)
  • テスラの7〜9月期決算(10月21日)
  • SpaceXの7〜9月期決算(日程は未発表)
  • SpaceXのQ3決算発表後に行われる大型ロックアップ解除
  • スターシップ15回目の飛行(マスク氏は感謝祭前と予想)
  • Terafabの投資規模、パートナー構成、製造開始時期の追加開示