ABCとイプソスが実施した最新の世論調査では、アメリカ人の過半数は、南軍の将軍の名を冠した軍事基地の名称変更を支持していないことがわかった。
回答者のうち、名称変更に反対は56%で、支持するが42%だった。
人種別では、黒人の67%、白人の32%、ヒスパニックの54%が変更を支持すると回答した。
ジョージ・フロイド氏死亡事件をきっかけに、南北戦争で奴隷制存続を主張した南部連合を象徴する像や施設の名称変更に関する議論が再燃している。
議会では、変更を支持する超党派の声が高まっている。
下院では11日、アンソニー・ブラウン議員(民主党 メリーランド)とドン・ベーコン議員(共和党 ネブラスカ)は、南軍指導者にちなんだ軍事施設の名称変更について、推薦委員会を設置するなど、手続きを定める法案を提出した。
上院軍事委員会では、11日に通過した2021年国防権限法の改正案で、南軍指導者にちなんだ軍事施設の名称変更や銅像の撤去を検討し、3年以内に実行を義務付ける案が承認された。
また陸軍スポークスマンは8日、国防総省と陸軍長官は名称変更をめぐる超党派の議論に「オープン」であると述べるなど、柔軟な姿勢を示した。
一方、トランプ大統領は10日、ツイッターで「私の政権は、これらの偉大な軍事施設の名称変更を検討することさえしない」と反対を表明。「世界で最も偉大な国家としてのわれわれの歴史は改ざんされない。軍を敬いなさい」と投稿した。
奴隷制補償には73%が反対
調査ではこのほか、奴隷制補償に関する質問も行われた。奴隷の子孫にあたる人々に政府が補償金を支払うべきかという質問で、23%が支払うべきと答え、73%が支払うべきではないと回答した。人種別では、黒人の72%が支持する一方で、白人とヒスパニックの支持は14%だった。
調査は6月17日と18日に、727人の成人を対象に実施。誤差範囲は+/- 4.1ポイント。