米連邦地裁 3Dプリンター銃のブループリント公開を差し止め – 支持派は言論の自由を主張

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7月31日(火)、シアトルの連邦地方裁判所は、非営利団体ディフェンス・ディストリビューテッドに対し、3Dプリンターで製造可能な銃のブループリントの一般公開の一時差し止めを命じた。

ディフェンス・ディストリビューテッドは、銃権利を提唱するコーディ・ウィルソン(Cody Wilson)氏が創設した組織で、ウェブサイト(Defcad.com)を通じ、8月1日より3Dプリンターで作ることが可能な銃のファイルを公開する計画をしていた。

ロバート・ラスニク(Robert Lasnik)判事は、「これらの銃の製造方法は、取り返しのつかない害を生じる可能性がある」と差し止め理由を述べ、8月10日に改めてヒアリングを実施することを決定した。

コーディ・ウィルソン氏は、オバマ政権時代の2013年に3Dプリンター銃のブループリントを公開したが、国務省が「武器国際取引に関する規制(International Traffic in Arms Regulations)」違反の可能性を理由に、ウェブサイトからの削除を命令した。なお、この時点でウェブサイトからはデータが10万回以上ダウンロードがされていたという。その後、コーディ氏はデータ公開の許可を求め、2015年に政府を提訴。今年6月に、トランプ政権において和解が成立し、8月からデータファイルの公開をスタートする予定となっていた。

しかし、8月1日を目前に控えた7月30日、ワシントンD.Cと8つの州が、政府の和解を行政手続法と憲法修正第10条に違反するとして提訴。今回の一時差し止めに至った。

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この措置に対し、ウィルソン氏の代理人のジョシュ・ブラックマン氏はTIME誌に、裁判所命令は「私のクライアントだけでなく、アメリカ国民の言論の自由への検閲である」と述べ、政府が武器を保有する権利を侵害してはならないとする合衆国憲法修正第2条ではなく、言論や出版の自由を保障する修正第一条を争点に据え、戦う構えを見せている。

ホワイトハウスの対応

トランプ大統領は7月31日(火)のツイッターで、「3Dプリンター銃の一般販売について、調査をしている。NRA(全米ライフル協会)に話をしたが、どうも話がおかしいようだ」と疑問を呈した。

また、1日のホワイトハウス記者会見でサラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders)報道官は、ウィルソン氏との和解について、ホワイトハウスは承諾をしていないとし、司法省が国務省に許可を与えたと発表。「大統領は、これらの試みが遅れることで、問題の調査に多くの時間を費やすことができることを快く思っている。この政権は、全面プラスチック銃の所持を禁止する十数年前の法案を支持している」と、反対の立場であることを強調した。