過半数はどちらに?2020米上院注目レース

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11月3日の選挙では、上院の35議席が投票にかけられる。このうち共和党が保持しているのは23議席、民主党は12議席。現在の上院の議席数は共和党53-民主党47で、民主党が過半数を握るには、4議席伸ばさなければならない(副大統領による議長決裁票を考慮すると、バイデン-ハリスペアが勝利した場合は3議席)。クックポリティカルレポートは、共和党が持つ9議席の選挙を五分五分、または民主党に傾いていると評価している。一方民主党が持つ議席に関しては、互角の評価はなく、アラバマ州の選挙を共和党に傾いていると分析している。

アラバマ州

民主党 ダグ・ジョーンズ(Doug Jones) 現職

共和党 トミー・タバーヴィル(Tommy Tuberville)

ジェフ・セッションズ氏の司法長官就任に伴って実施された2017年の特別選挙で当選を果たしたダグ・ジョーンズ議員。前回は、対抗馬のロイ・ムーア氏に浮かんだ性的暴行疑惑が追い風となり、50%-48%で接戦を制した。今年は元大学フットボールコーチ、タバーヴィル氏が優勢との見方が強い。FiveThirtyEightの現時点における集計では、43%-54%でタバーヴィル氏がリードしている。

アリゾナ州

共和党 マーサ・マクサリー(Martha McSally)現職

民主党 マーク・ケリー(Mark Kelly)

マクサリー議員は、2018年の中間選挙で民主党のカイルステン・シネマ(Kyrsten Sinema)議員に敗退したのち、同州のジョン・カイル議員の辞任に伴い、ダグ・デューシー(Doug Ducey)知事によって、現在のポストに任命された。対抗馬のケリー氏は元宇宙飛行士で、2011年に銃撃を受けた銃規制活動家のガブリエル・ギフォーズ (Gabby Giffords)元下院議員の夫。FiveThirtyEightの集計では、48%-43%でケリー氏がリード。クック・ポリティカル・レポートはレースは民主党に傾いていると分析している。

コロラド州

共和党 コリー・ガードナー(Cory Gardner)現職

民主党 ジョン・ヒッケンルーパー(John Hickenlooper)

世論調査では、2期目を目指すガードナー議員に対して、ヒッケンルーパー元コロラド州知事がリードしている。ヒッケンルーパー氏は、昨年8月に民主党の大統領選予備選からの撤退を表明した数日後に上院選出馬を表明した。リアルクリアポリティックスの集計では、現在ヒッケンルーバー氏が8ポイント上回っている。クックポリティカルレポートの分析では、民主党寄りとなっており、民主党が議席を奪還する可能性が高いレースの一つ。

アイオワ州

共和党 ジョニ・アーンスト(Joni Ernst) 現職

民主党 テレサ・グリーンフィール(Theresa Greenfield)

大統領選と同様、上院選でも重要な激戦州となっているアイオワ州。世論調査では、2期目を目指すアーンスト議員と政治未経験のグリーンフィールド氏が接戦を繰り広げている。Foxニュースによると、両陣営合わせて2億ドル以上を費やしており、ノースカロライナ州に次いで高額な選挙になっているという。リアルクリアポリティックスの集計では、アーンスト氏が0.5ポイントリードしている。

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メイン州

共和党 スーザン・コリンズ(Susan Collins) 現職

民主党 サラ・ギデオン(Sara Gideon)

中道派として最高裁判事指名や弾劾採決など重要な場面で注目を集めてきたベテランのコリンズ議員。先日のエイミー・コーニー・バレット判事の最高裁判事承認採決では、共和党で唯一反対票を投じた。対抗馬のギデオン氏はメイン州議会下院議長を務める。リアルクリアポリティックスの集計ではギデオン氏が6ポイントリード。クック・ポリティカル・レポートは五分五分と評価している。

ノースカロライナ州

共和党 トム・ティリス(Thom Tillis) 現職

民主党 キャル・カニンガム(Cal Cunningham)

元ノースカロライナ州議会上院議員のカニンガム氏が、2期目を目指すトム・ティリス議員にリードしていたが、先月、不倫相手とのテキストメッセージが明るみにでた後、差が縮小した。リアル・クリア・ポリティックスの集計では、カニンガム氏が2.6ポイントリード。

サウスカロライナ州

共和党 リンジー・グラハム(Lindsey Graham) 現職

民主党 ジェイミー・ハリソン(Jaime Harrison)

共和党の牙城とされ、ジミー・カーター大統領以来、民主党の大統領が選ばれたことのないサウスカロライナ。2016年大統領選で予備選に名乗りを上げた重鎮、リンジー・グラハム議員と、同州で民主党議長を務めたジェイミー・ハリソン氏が接戦の展開に。司法委員会の委員長として、選挙直前にバレット判事を最高裁に送り込んだことを勝利だとするグラハム氏に対し、ハリソン氏は、オバマ時代、ガーランド判事の指名に反対したグラハム氏の矛盾を攻撃。リアルクリアポリティックスとクック・ポリティカル・レポートともに、五分五分と評価。

ジョージア州

共和党 デビッド・パーデュー(David Perdue) 現職

民主党 ジョン・オソフ(Jon Ossoff)

トランプ大統領の集会で、カマラ・ハリス氏の名前を意図的に間違え、人種差別主義者と批判の声が上がった現職のパーデュー氏。クック・ポリティカル・レポートは互角のレースと評価。

共和党 ケリー・ロフラー(Kelly Loeffler) 現職

共和党 ダグ・コリンズ(Dug Collins)

民主党 ラファエル・ワーノック(Raphael Warnock)

ジョージア州ではこのほか、ジョニー・アイザクソン上院議員(共和党)の辞任に伴う補欠選挙が実施される。同議席には、同氏の退任後、今年1月からケリー・ロフラー上院議員が就任している。非政党方式となる同選挙では、候補者が21人と乱立しているが、世論調査では、ラファエル・ワーノック氏(民主党)がリード。ロフラー議員はダグ・コリンズ下院議員(共和党)と互角の争いを展開に。トップの候補者が50%に満たなかった場合、1月5日に上位2名による決選投票が行われる。