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NY歴史的洪水で13人死亡「違法地下室」の問題浮き彫り

ハリケーン「アイダ」は1日夜、熱帯低気圧に勢力を弱め、ニューヨーク州などのトライステートエリアに到達。降水量は観測史上最多を記録し、歴史的な洪水を引き起こした。これにより、ニューヨーク市のクイーンズとブルックリンでは13人が死亡。うち11人は、地下室で溺死した。

abcニュースによると、クイーンズのコロナ地区で亡くなった48歳の女性を除き、全員が違法地下室で生活していたという。

ウッドサイドでは、50歳の父親と38歳の母親、2歳の子供が死亡した。ニューヨークデイリーニュースによると午後9時半ごろ、部屋に突然水が流れ込んだ際、母親のMingma Sherpaさんは3階の住民に「窓から水が入ってきた」と助けを求める電話をかけていた。1階の住民は、地下はプールのようで、水圧でドアを開けることができなかったのではないかと語っている。
他には、エルムハーストやフラッシング、ジャマイカなど洪水の影響を受けやすい地域で死者が確認された。またブルックリンでは、窓のない地下室に住んでいた66歳の男性が亡くなっている。

地下室の大半は違法

移民が密集して暮らすクイーンズでは、違法に改造され、安全基準を満たさない地下室で暮らす低所得層も多い。今回の洪水で、これらの人々の住宅問題に改めて注目が集まっている。

ニューヨークタイムズによると、市の法律では、地下室を住居として使用するには、天井の高さが少なくとも2.3メートルで、窓があり、貸し出す前に市の許可を得る必要がある。しかし、これらの条件に照らし合わせると、クイーンズにある地下室の住宅は、ほぼ違法だという。

ニューヨーク市では、人口が10年前に比べて63万人近く増加する一方、家賃は高騰しており、手頃な価格の「アフォーダブル・ハウジング」の供給不足も続いている。
そのためこれらの地下室は、滞在資格のない人々や低所得層にとって、必要不可欠の存在となっている。

同地区から選出されたアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(民主・ニューヨーク州)は今回の災害を受け、「気候危機は、不平等の危機だ」とツイート。
「鉄砲水の最も危険なリスクにさらされている人々の多くは、安全基準を満たさない闇マーケットの地下室に住んでいる」と指摘した。これらは「労働者階級で、移民で低所得」の人々だとして、住宅問題の解決に取り組むよう訴えた。

デブラシオ市長は2日の会見で、短時間で激しい降雨が襲ったため、川や海沿いから離れた人を避難させる必要があったと説明。「今までの次元とは異なる事態」だと問題の深刻さを語った。

「異常気象は今後、日常的になっていくだろう」と述べ、新たな対策に取り組むと発表した。具体的には、自宅待機命令や地下鉄の運行停止など、より多くの警報を出し、早期避難を実現する案を示した。

デブラシオ氏は、多くの不法移民が地下室で生活している問題は認識しており、「非常に困難な状況」だと語った。また少なくとも5万室で10万人が暮らしているとの推定を示し、戸別訪問などによって、データーベースを作成する可能性に言及した。

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