「顔をつかんで頰にキス」クオモ知事に10人目のセクハラ告発

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セクハラ告発が相次いでいるニューヨーク州のクオモ知事に、新たな女性が被害を訴え出た。

これまで9人の女性がクオモ知事によるセクハラ行為を告発している。現在、州司法長官室が調査を進めている。

新たに名乗り出たのはニューヨーク州のロチェスター郊外にある街、グリース在住のシェリー・ビル(Sherry Vill)さん(55)。29日、著名な弁護士のグロリア・オールレッド(Gloria Allred)氏とともに会見を開いた。

ビルさんの説明によると、2017年5月28日、4月にオンタリオ湖で発生した洪水の被害状況を視察する一環で、クオモ氏がビルさんの家を訪問した。知事のスタッフから事前に相談があり、ビルさんは同意したという。

家の中で、クオモ知事に「このような状況で生活するべきだと思いますか」と話しかけると、知事はビルさんを見つめて、接近。手を取って自分に引き寄せた上で、覆いかぶさって、頰にキスをした。続いて、ビルさんが抱えていた犬をかわいがるかと思いきや、もう一方の頰にもキスをしたという。ビルさんはクオモ氏の行為を「非常に性的な方法」と説明。「まったく考えてもいなかった」と語った。

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クオモ氏は、両頬にキスをするのがイタリア式だと述べたという。

ビルさんは「ショックを受けて、何が起きたかわからなかったが、恥をかかされ、彼のキスが普通でないことはわかっていた」と心境を振り返り、「私はイタリアンで家族もそうだ。家族は他人とはキスをしない。初対面ならなおさらだ」と語った。

その後、家を出るスタッフの後をのろのろと歩いていたクオモ氏は、立ち止まって振り返り、ビルさんに「君は美しい」と述べたという。

リビングでの出来事を「不快」に感じていたビルさんは、外側のダメージを確認するために屋外へと出るクオモ知事らにわざとついていかなかったにもかかわらず、「さらに不快になった」と語った。

さらに、被害状況の確認を終えたクオモ知事は、ビルさんに再び接近。「他に必要なことはないか」と尋ねつつ、手を取り、もう一方の手で顔をつかんで「非常にアグレッシブな方法」で頰にキスをしたという。

ビルさんは、クオモ氏の行為は素早く、止めることができなかったと話し、「見つめ方とボディランゲージは非常に不快」であり、家族や隣人の前では特に、非常に不適切な振る舞いだと語った。

数日後、クオモ知事のスタッフから電話があり、クオモ氏のイベントに誘われたという。スタッフが口にしたのはビルさんだけで、夫や家族は含まれていなかった。ビルさんは誘いには応じなかった。

さらにクオモ氏から手紙が到着。知事とビルさんを中心に撮られた写真が同封されていた。手紙には、ビルさんの名前だけが記されていた。

この一件の後、ビルさんは、隣人やお客さんから、知事の新しいガールフレンドなどと呼ばれたという。

ビルさんは知事の「非常に性的で不適切、無礼」な行為に悩まされ続けてきたと述べるとともに、「報告するが恐ろしかった」と語った。

オールレッド弁護士は、クオモ氏から送られた手紙と写真に加え、動画から撮られたクオモ氏がキスをする場面の画像を公開した。

オールレッド氏は、会見後にビルさんの告発を司法長官室に報告すると表明した。訴訟を起こす計画はないとしている。

クオモ氏はこれまで、告発者らを不快にさせたことを謝罪すると述べる一方、不適切に触れたことはないと主張している。相次ぐ告発に党内からクオモ氏の辞任を求める声も高まっており、今月11日、カール・ヘイスティ州議会下院議長は、セクハラ疑惑と老人ホーム問題に関して、州司法委員会による「弾劾調査」の開始を許可すると発表した。