米上空に中国の巨大スパイ気球?目的は

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米国防総省は2日、高高度監視気球が米国上空で検知されたと発表した。

現在も飛行を続けており、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)を含む政府機関が追跡、監視にあたっている。

高度は民間機の空域よりも高く、地上の住民に軍事的、物理的脅威はないとし、同様の気球の活動は、過去数年観測されていると加えた。

米国政府は機密情報が収集されるのを防ぐため迅速な措置を講じたとしている。

米報道機関が政府当局者や国防省高官の話しとして伝えたところでは、気球は中国によるものとみられ、過去数日間飛行を続けているという。

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水曜日にイエローストーン国立公園の玄関口として知られるモンタナ州ビリングス上空で確認された。アリューシャン列島からカナダを抜けて、モンタナに入ったとみられており、現在の地点は明らかにされていない。

SNSに投稿された気球の様子↓

水曜日、フィリピンを訪れていたオースティン国防長官は、ミリー統合参謀本部議長、NORADのヴァンヘルク司令官をはじめとする軍や国防省の幹部らと協議を実施。対応策を検討した結果、破片などが飛散し地上の人々の安全や安心に危険をもたらす可能性があるとして、運動性の兵器による破壊は推奨しないと判断した。

政府高官によると、バイデン大統領はその日に説明を受け、「軍事的オプション」を尋ねたが、撃墜しないことを「強く勧められた」という。

なお水曜日の時点で、NORADがネバダ州ラスベガス近くにあるネリス空軍基地から F22戦闘機と早期警戒管制機(AWACS)を飛行させたが、当局者はこの間、撃墜の選択肢があったかどうかについて明言を避けたという。

軍用機の飛行により、ビリングスの空港では、管制官から「特別軍事任務」を理由に航空機に待機命令が出されたという。

目的は?

ABCニュースによると、気球はバス3台分の大きさで、国防省の高官は、中国のものであることを「確信している」と話したという。

SNSでは、数日前にモンタナ州議会で中国政府による土地買収を制限する法案が出されたことを指摘する投稿などもあったが、軍事専門家は、基本的には科学的な目的だろうと見解を示した。

スティーブ・ガヤード退役大佐は同局に、気球は動力を持たず、ジェット気流で漂っていることから通常の調査船であり、実験が失敗した可能性があると語った。放出後は制御されることなく、通常は開けた場所で収縮するメカニズムを備えているが、なんらかの理由で故障したのだろうと話した。

悪意をもったものではなく、中国から何日もかけて漂ってきた可能性があるとしつつ、偵察気球を意図的に米国上空を飛ばすことは非常に挑発的で、価値がないと指摘。さらに、中国の衛星であれば、同様の方法で情報収集を行うことも可能だと加えた。