ロシア モスクワ上空を警戒、防空システムを強化

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ロシアの首都モスクワにある政府機関建物に「Panstir(パンツィーリ)-S1」防空システムを配備する様子が確認された。

軍事アナリストのロブ・リー氏が、画像や動画と共にツイッターに投稿した内容によると、兵器が設置されたのは大統府から数キロ離れた行政建物の屋上と、ロシア国防省の国防管理センターの屋上。

ロシア側の公式な説明はないものの、ロシア大統領府のペスコフ報道官は19日、記者団の取材にNATOがウクライナに戦車や長距離ミサイルの重火器を配備すれば、「非常に危険」で「紛争を新たなレベルに引き上げることを意味する」と警告していた。

なお米国はこれまでのところ、ロシア国内を攻撃可能な長距離兵器を供与しない姿勢を崩していない。

ロシアでは、昨年12月、国内の空軍基地2箇所が攻撃を受け、このうちモスクワから約700キロほどの距離にあるエンゲリス空軍基地は、2度にわたる爆撃を受けた。ウクライナは関与を明らかにしていないものの、ロシア側は、ウクライナがソ連製のドローンを使って攻撃したと主張している。

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一方、ウクライナの軍需企業ウクロボロンプロムは先週、開発を進めていた航続距離1,000km、75kgの弾頭を搭載する自爆型ドローンが「詳細を伝えることができない段階」に到達したと発表するなど、実戦での使用が近い可能性を示唆している。

Pantsir-S1とは?

国営武器輸出企業ロソボロネクスポルトによると、Pantsir-S1はロシアが開発した自走式対空ガンミサイルシステム。特性はミサイル捕捉と追跡設備、砲を一台の戦闘車両に搭載することで、装輪車両または無限軌道車にマウントできるほか、コンテナ型のバリエーションも存在する。

57E6ミサイル12発と、38M30mm対空機関砲2基を備え、最大4つの標的を同時に攻撃することができる。ミサイルの最大射程は20kmで、固体ロケットブースターと20kgの高性能弾頭の2段階からなる。機関砲の発射速度は1分間あたり5,000発で、射程4km、高度3km内の空中標的と交戦することができるという。

2003年からロシア軍に配備され、ロシア以外では、アルジェリア、ブラジル、ヨルダン川西岸とガザ地区、イラン、イラク、ヨルダン、リビア、サウジアラビア、スロベニア、シリア、UAE、ベトナムで運用されているという。